インターネット空想の森美術館
森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館
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月下の仮面祭 アートスペース繭 2009年10月13日-22日 東京都中央区京橋3-7-10 TEL・03-3561-8225 [月下の仮面祭] 月が出た。 黒々とした山塊の 奥深く抱かれた村の神社では 年に一度の 神楽が開催されていた。 その御神屋が設えられた境内の 斜め上方の黒い山嶺を光らせて ぽっかりと銀色の月が浮かんだのである。 女が一人 神庭から踊り出て 月に向かって両手を広げ、 その手をひらひらと宙に漂わせながら 神社の裏手へと続く 細道に消えた。 神楽の囃子に浮かれたのか 幻月に誘われたのか 男の呼ぶ声が 遠い 山の闇から聞こえたのかは 定かでない。 ――今宵一夜はお許しなされ 人のかかでも娘でも 鹿、猪、狐 鬼、水神、山姥、黒し翁 月の光りに照らされた村に 神楽の音楽が流れ、 過激なセリ歌が歌われ 不思議な面相の 仮面神が次々に登場し 幽玄の舞を舞う。 神楽の笛に 雄鹿が雌鹿を呼ぶ声が混じる。 女が 一夜だけ 行方知れずとなるのは こんな晩だ。 * 大型の狐面。ちょっと恐いような兎の仮面。波に浮かぶ月と兎。 石で彫られた猿。修験の行者が背負って歩いたという双頭の女神。 星と月が描かれた白磁の皿。葛や藤、楮などで織られた古い布。 集まってきたものたちは、少年の日に遠い山の村で見た祭り ――月下の仮面祭――に並べられた、呪術者の道具のように 見えました。それらを、書きかけの「仮面詩集」の横に並べたら、 どこからか、神楽囃子に似た音が響いてきました。今回の企画では、 「石井記念友愛社/茶臼原自然芸術館」の仲間たちが取り組んで いる「自然布」の作品も加えて、毎年お世話になっている「繭」の スペースを幻想的な空間に変えてみたいと思っています。(高見) * 一年ひとめぐり、あっという間に時は過ぎて、また神楽の季節が近づいてきました。 10月恒例の高見さんの展覧会も、10回を超え、またまた面白い荷が集まりました。 詩人でもある高見乾司さんの物を収集する目は「文学的」で、いつもワクワクさせて くれるものを見つけてくれます。今年もドラマチックな空間で、しばし神代の世界に 遊んでいただければと思います。(アートスペース繭・梅田) 早春の便り<九州から> アートスペース繭 東京都中央区京橋3-7-10 TEL・FAX 03-3561-8225 数年前の高見八州洋さんの竹の作品展以来、竹の魅力に目覚めてしまった。気をつけて見ていると、先日、更新された近隣の建て仁寺垣の清々しさや知人宅の大きな萱葺き屋根を支える竹の力強い骨組み、昨春、母と訪ねた京都・詩仙堂では木と竹を交互にあしらった濡れ縁に感激した。そして、初春に八州洋さんから届いた目にも鮮やかな青竹の箸・・・。一年で大きく成長し、その強靭さとしなやかさでさまざまなものに利用できる竹。 高い技術を誇る日本の工人たちの手で日本の暮らしに根付いてきた。 八州洋さんは30年にたって由布院で仕事を続けている。九州男児らしく、寡黙で腰の座った仕事ぶりは、その作品にも生きていて、昨年はインドに招待され、現地の竹工芸作家たちに技術・デザインなどの指導も行った。今年は籠や灯りの他、スプーンやボタン、洗濯挟みなども出品してくださる。繭の展覧会でおなじみの長兄・乾司氏も和更紗や型染め、民俗仮面、古陶などで花を添えてくださるという。宮崎と由布院から届く野の花と共に、一足早い春を感じたいと思います。 (アートスペース繭・梅田美知子) * 毎年お世話になっているアートスペース繭さんでの企画展です。ここでは、多くの出会いがあり、また古い友人たちとの再会・交流もあって楽しみな場です。今回は、九州の民俗仮面15点を出品します。中世の「道化」など珍しいものも出ます。弟の竹の作品に南九州の古陶などに花を生けてみるという趣向で望む予定です。和更紗と型染めの布は、今から30年ほど前に、九州で集めた古絣や古布を関西の知人やコレクターに届け、その足で奈良・京都の古美術商を廻り、集めたものを含みます。まだ、「古布」という言葉もなかったころ、 本の装丁や額装などに使いたいと思って集めたものです。(高見乾司) *
九州/時空を越える旅 アートスペース繭/10月6日~15日 AM11:00~PM7:00(日曜廊) 東京都中央区京橋3-7-10 Phon03-3561-8225 宮崎県西都市で森の空想ミュージアムを運営する高見乾司さんと、九州の文化を紹介する企画を始めてからもう6回目の秋になる。その度、九州には不思議な波動が息づいていることを感じる。山深い里々には独特の文化が残っており、奉納の神楽が、今なおその輝きを失うことなく伝承されていて、その数200数十箇所にものぼるという。一昨年の暮れ、高見さんに誘っていただいて、宮崎に中之又神楽、銀鏡(しろみ)神楽を訪ねた。夜を徹して行われるその祭りは、まさに神々の棲む山、神の降臨する祀りということをひしひしと感じさせるに十分で、胸の中に深くきざみつけられる体験だった。高見さんが何十年も九州の文化にこだわり、山々を村々を情熱的に訪ねて回り、調べていられる気持ちの一端が解った気がした。 人々もまた、荒ぶる神、創生の神の末裔を思わせる強いエネルギーを内包する人が多く、 それらが一体となって九州の強い波動となっているのかもしれない。 遠く、室町時代の漆器、神像、木彫狛犬、古伊万里の器などとともに、森の空想ミュージアムに集う現代の女性たちの手で復元された布、かつて神迎えの布として乙女の織った楮布をはじめ、自然布の数々も展示いたします。九州の山を描き続けている高見さんの絵が、背景で静かな山の響きを伝えます。 (アートスペース繭/梅田美知子) 「九州・神々の祝祭」 ―仮面・神像・自然布など― とき 2006:10/13-10/22 ところ アートスペース繭 東京都中央区京橋3-7-10 TEL03-3561-8225 九州の大地に今年もまた、豊饒の秋が来て、刈り取られた稲穂が干され るころ、神楽の準備に人々の思いも高揚してくることでしょう。10数年前、 高見乾司さんを通して九州の文化・伝統にふれてから強烈な土のにおい を感じる神楽の文化にすっかり魅了されてしまいました。宮崎県だけでも 300箇所余りに残るという神楽は、遠く神代の創生神話につながり、夜 が明けるまで続く神々の祝祭は見る人を、ひととき時空を超えた旅へと誘 ってくれるに余りあります。今年もまた、魅力ある神像や狛犬に加えて迫 力ある神楽の写真も見ていただく予定です。また、手つむぎの美しい着尺 や葛、楮、ヘラの木などの自然布、その素材なども合わせて展示いたしま す。お出かけ下さい。(繭・梅田) |
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(SINCE.1999.5.20)