苗代川 茶壷
江戸時代 30000円
高さ約28cm、幅(胴の膨らみの部分)26cm、平均的な大きさの茶壷である。藩主への献上品ではないが、藩内の富裕層が用いたものであろう。木の蓋をして布で覆い、紐で縛るための四つの耳も付いている。黒々とした陶肌と胴部のゆたかな膨らみが、南国の古風な家の重厚な暮らしを想像させる。口辺から肩へかけて、細い罅が走っているのが惜しまれる。
苗代川 茶壷 江戸時代 40000円
前掲の茶壷に比べると、高さ21cm、幅(胴の膨らみの部分)20cmと小ぶりの茶壷である。
色はやや褐色がかっており、質朴さに上品さが加わった優品である。貝高台(貝殻の上に乗せて焼かれたことから底部に貝殻の跡が残る)であることから、製作期が江戸初期と特定できる。
苗代川 口付き徳利
江戸時代 20000円
このタイプの口付き徳利は数が多く、もっとも愛好される苗代川焼の代表選手であるが、掲出は高さ21cm、幅(胴の膨らみの部分16cmと小ぶりで愛らしい逸品である。真っ黒ではなく、暗緑色がほどよく全体を多い、所々に茶褐色と黒がみえるのもよい。焼酎徳利、醤油徳利などして大量に焼かれ、使われ続けた器であるが、花器としても人気が高い。このタイプの徳利は、明治期を最後に焼かれなくなったが、骨董の青空市などでは良く見かける。盛期には大量に焼かれたものであろう、粗雑なものも多いが、時に優品にも出会う。
苗代川 擂り鉢 二点
江戸時代/(大)25000円、(小)20000円
これは、時代的に用途を亡くして久しい焼物である。このような大鉢で、山芋などをすりおろしてトロロ飯などを作ったならば、美味だろう。大小二点を野に置き、並べてみた。折から咲き誇っていた彼岸花を折り取り、ざっくりと投げ入れてみたのである。
苗代川 漏斗(じょうご)
江戸時代 15000円
これもまた、用途を失って久しい器物である。大きな樽から、酒や醤油を小さな甕または壺に移し入れたものであろう。入手して30年ほどになる。捨てるわけにも行かず(捨ててはいけない歴史遺産である)、方々を持ち歩いている。今回、窓辺に置き前掲の彼岸花の残りを三角形のざるの上に乗せた種子島焼・能野の箸立てに放り込んでみたら、なかなかの風情となった。
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