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オンラインショップ/骨董:アートアンティーク


                           

画家の谷川晃一さんが、「雑貨主義」という展覧会を開いたことがある。
谷川氏は、多国籍というべき「雑貨」をコレクションし、その作品もご本人そのものも
おおいなる雑貨のような存在だが、この
「骨董:ARTアンティーク」のコーナーもそれに
あやかり、「ARTな雑貨」をテーマのひとつとしてみたい。なんとなく、
その「ことば」が好きだという感覚。
ただし、展覧会そのものは拝見しておらぬゆえ「物まね」に陥る心配は無用。

骨董=アートアンティーク」とは、それぞれに由緒も起源も用途も持ち、森厳なる美の世界
へとわれわれをいざなう
「美の狩人」の世界である。一点一点が、はぐれ狼というか、
ツワモノどもというべきか、各々、粒よりの「逸品たち」であれば、たとえ雑器の中に
埋もれていようとも、あざやかな光彩を放って数寄者の眼を射ること必定であろう。
それゆえ、このコーナーには思わぬ掘り出し物との出会いが
企図されていると判定していただいて結構。

  「文人趣味」という世界がある。文人とは、詩・書・画を良くし、茶道・料理・音楽を楽しみ、
骨董や古典の世界に通じた「目利き」すなわち斯道の「達人」をいう。ただし、真の文人とは、
市井にあって静かに暮らし、宇宙星宿と対話しながら、静かに暮らす趣味人のことである。
この文人の眼に適うものが、本物の骨董なのである。現代のアートの視点で骨董あるいは
文人趣味を捉える時、そこは刺激に満ちた日本美術のフィールドワークの現場という事にもなろう。
このコーナーがその入り口になれば、楽しみは尽きないものとなろう。

              

                   


版木 天照大神
  江戸時代 2万円 

国家の最高神・天照大神を「雑貨」の中に入れるなどとは、なんという大胆な仕分けであることか。その筋の人たちからは、不敬である、とお叱りを受けるかもしれないではないか。だがこれは、何処かの神社が刷って民衆に配ったお札の版木であって、神様そのものではない。神様という概念を取り払ってみれば、使い込まれて光沢を増したその木肌は、一点のすぐれたタブローに匹敵する美しさであり、その彫技は一級のアーティストの仕事である。用途を離れて、壁に掛けて鑑賞したい逸品。天照大神の両脇に控える二神については、目下調査中                         



須恵器 宮崎県茶臼原古墳出土

古墳時代 15000円 

こんなにはっきり出土地を書いていいものかどうかはわからぬが、この須恵器は、
盗掘品である。私はこれを今から
30年ほど前に買ったのだが、その時に関係した
「掘った人」も「売った人」、さらに「それを買って売りに出していた骨董屋主人」もすでに異界の人となったのでここに明らかにしておくものである。そして今、
私は、かつてその盗掘の舞台となった宮崎県西都市茶臼原古墳群のど真ん中に
住んでいるのである。近くには天児屋根命の陵墓と伝えられる児屋根塚古墳がある。隣接して大小
300基の古墳を有する西都原古墳群がある。この辺りでは、畑を耕していると、突然ぽっかりと穴があき、そこから器物や骨が出ることがあるという。
それが古代の「王」の墓で、この須恵器もそのようにして掘り出されたものだということであった。それを教育委員会に届け出れば「盗み」にはならないが、
売り飛ばせば「違法」となる。「骨董」という文字を分解すると
    「骨・草・重なる」となる。骨董のことを「掘り出し物」ともいう。
                       


縄文土器

縄文〜弥生初期 25000円 

「縄文」と「弥生」の境目のころ、すなわち2200年前頃の土器。柔らかな赤みを帯びた肌質は、「弥生土器」のものだが、肩口にある紐状の横線は、明らかな「縄文」の名残り。古墳には、古墳時代のものだけでなく、旧石器時代の遺物から平安時代の鏡まで入っている例がある。代々の葬送地に古墳が造られ、さらに後世もそこが墳墓として使われたのであろう。古墳の上に神社が建っている例もあるではないか。大分県宇佐平野出土。アザミの一茎などが良く似合う。接合あり。


質実剛健の「黒」

司馬遼太郎の膨大な著作群の中に「故郷忘じ難く候」という名品がある。
豊臣秀吉による朝鮮出兵、すなわち文禄・慶長の役(十六世紀末)の折、薩摩藩島津氏によって連行された、数十人の朝鮮人陶工により、薩摩藩内に次々に開窯された窯が、薩摩焼の源流をなした。以来四百年、盛衰を繰り返したが、その末裔である苗代川焼陶工・沈寿官氏とその一族を取材した作品である。やみがたい望郷の念を抱きながら異国の地に生き続けた陶工たちの痛哭の詩、
「ものづくり」に賭ける工人たちの強靭な魂などが記されて胸を打つ。

慶長4年(1599)、薩摩藩内串木野の島平に上陸した朝鮮人陶工たちは、
そこに串木野窯を築き、以来各地で薩摩焼の窯元が開窯した。それらの窯は発展と
衰退を繰り返し、現在、「薩摩焼」の系譜として「苗代川系」「龍門寺系」「堅野系」
「西餅田系」「平佐系」に大別され、これに「種子島系」が加わる。

400年余りの歴史を持つこれらの鹿児島県内(旧・薩摩藩内)で作られるやきものを
「薩摩焼」と総称し、庶民の日用雑器としての黒薩摩(黒もん)と、藩専用であった
白薩摩(白もん)の2系統がある。当初は「黒もん」を作っていたが、白土が発見されると
「白もん」も製作した。「白薩摩」は白土を生かした黄色がかった白地の肌に細かな貫入が入り、
赤・青・緑に金彩を施した豪華で精緻な焼物で、長く藩主御用達として栄えた後、
明治時代にはパリ万国博に出品されて絶賛され、ジャポニスムの源流の一つとなった。

大型の花器のほか、茶器、香炉などが作られている。「黒薩摩」は庶民の日常雑器として
製作されたが、その漆黒の焼色は質実剛健の気風を秘め、「民芸の雄」として愛好
されている。苗代川焼は串木野窯から別れた陶工たちが東市来町美山(現・日置市)
に開窯、現在に受け継がれている。沈寿官氏もその一人である。


筆者・高見は今から30年ほど前に、この苗代川の地を訪れ、静かな集落を歩いたことがある。
当時、村のそこここに窯元の展示場があったが、展示されているのは絢爛豪華な「白薩摩」と肌の滑らかな黒釉の「黒薩摩」ばかりで、いわゆる骨董・民芸の世界でいうざっくりとした味わいの「黒もん」すでに焼かれていないようであった。白薩摩こそが「薩摩焼」の主流であり、現代の需要がそれであるならば、それもまた歴史の一断面であると認識したが、以来、私は苗代川の「黒もん」は骨董の世界でだけ求めるものとなった。「苗代川の黒」にこそ、陶工たちの哀歓、庶民の素朴かつ繊細な美意識、南国の風土が醸す深い味わいなどが秘められていると思うのである。

写真左から苗代川「茶壷」(大)3万円中・苗代川口付徳利2万円/右「茶壷(小)4万円
*詳細は 質実剛健の黒 をご覧下さい。


九州根来
かつて大隅半島や九州脊梁山地の山深い村には「木地師の村」と伝えられる村が
あり、すぐれた木器を生産した。漆の山地をかねている例もある。これらの村には
戦国末期、織田・豊臣によって滅ぼされた「紀州根来」の残党が入山し、
その技術を伝えたという。海流の関係によって、古くから交流があったことが、
技術者たちを受け入れる土壌となったものであろう。


九州根来「瓶子」/桃山〜江戸初期頃 15万円
現在も神楽の神事に使われている例がある。


黒根来「鉢」/江戸初期頃45000円    木地「御器」/35000円


木地「高坏」/江戸初期頃 35000円


木地「盆」/江戸後期頃 20000円



古鈴いろいろ
あるコレクターがヨーロッパ旅行の折に土産として買ってきた種々。
牛の首に下げられて、ヨーロッパアルプスの牧草地をカラン、カランとのどかな音を響かせていたものであろう。一個ずつは別々のものだが、グループ分けして販売。日本の物と思われる物も交じっている。古風な喫茶店や山小屋などのドアに取り付けられたら詩情漂う扉口となるだろう。

詳細は 雑貨アート へ

南蛮小壺

産地・年代不詳 15000円

「小壺」としか形容の仕様がない。当初、種子島焼(能野窯)を想定したが、陶土の硬さや黒の濃さなどに少し違いがある。琉球諸島のものでもないようだ。よって、「南蛮」としておく。高さ8センチ、胴部の径8センチ、口径4センチ、やや歪んだ口縁、肩部の横線、中央やや下部と上部を分ける黒と褐色の釉薬など、
小物ながら見どころの多い逸品である。



 

阿片吸引具 年代不詳 タイ
2点組 20000円

かつてゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれた地域。タイ・ラオス・ミャンマーの国境が接する地帯。そこは、阿片の一大生産地であったが、現在は農業による生活改善が進み、治安も改善されて、多くの観光客を受け入れる人気スポットとなっている。だが、国道沿いのフリーマーケットやアンティークショップなどには、いまだにこのような阿片吸引具が陳列されていることがある。ただし、これはオブジェとして買った。気持ちのよくなる煙を吸ってみようという思惑などはない。


                    

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