インターネット空想の森美術館
  ☆森の空想ミュージアム/九州民民俗仮面美術館☆

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   ☆☆
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アートの会い  を巡る旅


高千穂
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平成の桃源郷西米良村おがわエコミュージアム2012


森のアートワークショップ2002−2005

遼太朗の
美術館日記


石井記念
友愛社


活動ファイル

このコーナーの文は、加筆・再構成し
「精霊神の原郷へ」一冊にまとめられました

 黒い女面/
  黒神子


  猿田彦

海神の仮面

 王の仮面

 忍者と仮面

 鬼に会う旅

 荒神問答

米良の宿神

  道化

  翁面


 このコーナーの文は加筆再構成され
「空想の森の旅人」
に収録されています

森の空想
エッセイ


自由旅


漂泊する
仮面


 


九州民俗仮面美術館




 九州は、各地に伝わる多様な神楽面や、呪術・祈祷などの民間祭祀に使用された信仰仮面などが、さまざまな芸能や民間信仰、神話・伝説などと混交しながら伝承され、「民俗仮面の宝庫」、「仮面文化の十字路」などと形容されます。北部九州の修験道・放生会・修正鬼会(追儺の祭り)等と混交した仮面群、九州脊梁山地の狩猟・焼畑文化・神楽などとの習合がみられる仮面文化、南九州の黒潮の道・古代神話との接点をもつ仮面分布などが、アジア・環太平洋の仮面文化と連環しながら残存し、日本の古代芸能の原型をとどめながら濃密な分布をみせるのです。これらの仮面は、長い年月、個人の家や村、神社などに保存され、「神」として伝えられてきたため、風化にさらされ、磨耗し、人間の手の痕跡をとどめて、「時の造型」あるいは「風土の記憶」というべきつよいメッセージを発信しながら、見るものに衝撃を与えます。この民俗仮面こそ、日本列島の文化の古層を伝え、祭祀儀礼・芸能発生の謎、庶民の生活史などを伝える貴重な歴史遺産なのです。「旧・由布院空想の森美術館」(1986−2001)はこれらの仮面の収集と展示・研究を続けてきましたが、2001年に閉館し、当地で「森の空想ミュージアム」として活動を継続、さらに「日本民藝館」「豊田市民芸館」「世界宗教学宗教者会議」「西都原考古博物館」等での「九州の民俗仮面展」の開催などを経て、このたび、「九州民俗仮面美術館」を開館することができました。西都原古墳群、持田古墳群など多くの古墳群に囲まれたこの茶臼原台地の一角は、明治期の政治・宗教の変革や戦後の混乱などにより、流出し、漂泊・変転していた仮面たちの原郷ともいえる土地です。この美術館は多くの皆さんの参加を得ながら、かつて「石井記念友愛社」の子供たちが暮らした建物を「手づくりミュージアム」方式で改装し、建築物やそれを取り巻く空間そのものをアートな作品として仕上げ、「九州の民俗仮面」を展示してゆきます。さまざまな縁に結ばれて実現した「九州民俗仮面美術館」は、神々の土地に吹く風を受けながら、調査・研究、保存・伝承の拠点として新しい一歩を踏み出したのです。



 
霧島・荒神面<九州国立博物館蔵>
旧・由布院空想の森美術館(1986−2001)は2001年に
大分県湯布院町から宮崎県西都市に移転、「森の空想ミュージアム」
に改名し、さまざまな活動を展開してきましたが、2008年4月
に、その活動と研究の中核と位置づけてきた「九州の民俗仮面」の
90点が「九州国立博物館」収蔵となり、結実しました。今後、同
博物館と連携した調査・研究など、新たな仮面研究が開始されれば、
画期的な取り組みになるものと期待がふくらみます。旧・由布院空
想の森美術館は、閉館後8年を経過しましたが、現在もその名前や
記憶、活動内容などが多くの人々の心の中に生き続けており、空想
の森美術館そのものが現在も存続しているのだと信じている人も、
多数存在するということが、最近、判明しました。現実の空想の森
美術館はこの世に存在しなくなったけれども、「イメージ・記憶・
記録」という時空のなかで、空想の森美術館は存続し続けていたの
です。そこで、今回の「九州の民俗仮面・九博収蔵」を機に、この
ホームページのタイトルを「インターネット空想の森美術館」とし、
この幸福かつ稀有な現象に実態を与えることとしました。すなわち、
このホームページに記録される「森の空想ミュージアム/九州民俗
仮面美術館」を中心とした今後の活動と、ホームページ上で掘り起
こされる「旧・由布院空想の森美術館」の活動記録が、「インター
ネット空想の森美術館」なのです。具体的には、今後の活動の詳細
な記録・報告を基本とし、「由布院空想の森美術館の15年」「森
の空想コレクション室」等のページを新設し、充実してゆきます。
かつて由布院空想の森美術館を訪れたことのある人、企画展を開催
した作家の皆さんからの情報提供などもお待ちしています。では、
新しい出発をよろしくおねがいします。
<森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館・館長高見乾司>

翁面(弘安二年銘入り)<九州国立博物館蔵>

                     特報!!

「九州国博」仮面90点購入 宮崎の美術館長収集 鎌倉─江戸の民俗資料を保護

             2008/04/07付 西日本新聞朝刊記事

 宮崎県西都市の高見乾司さん(59)が約30年がかりで収集した九州の仮面90点を九州国立博物館(福岡県太宰府市)が購入、2009年にも常設展示する計画を進めていることが6日、分かった。鎌倉時代から江戸時代末期にかけての古い仮面で、九州の民俗を探る上で貴重という。国立博物館がこれだけ多くの仮面を民俗資料として購入し、収蔵する例はほかになく、常設展示の「呼び物」の1つとしてお披露目する予定だ。

 高見さんは大分県の旧湯布院町(由布市)で民芸店を経営していた約30年前に収集を始め、1986年同町に開設した「由布院空想の森美術館」で2001年まで展示。西都市に移り住み、自宅に開設した「九州民俗仮面美術館」で06年から展示を再開していた。

 収集した仮面は約300点に及んだが、経済的事情で所有権を失っていることもあり、高見さんは「せっかく集めた仮面を散逸させず、文化的価値を広く知らせたい」と、九州国立博物館に仮面の資料を送るなどして収蔵を働きかけていた。

 同博物館は調査の上で、鎌倉時代の「弘安二年」の銘が刻まれた翁面(おきなめん)(宮崎)や南方系文化の影響をうかがわせる渦を巻いた眉(まゆ)が特徴的な神楽面(宮崎・鹿児島)、誇張された目や鼻、口が印象的な赤い神楽面(鹿児島)、頭頂部に鬼が飾られた舞楽面(福岡)など90点を収蔵することを決め、今年2月、所有者から購入を済ませた。

 同博物館展示課・楠井隆志主任研究員は「仮面は一般の人にも親しみやすい素材。実際にかぶる、のぞくなどといった体験型の展示ができるよう工夫を凝らし、来年以降リニューアルする常設展示の目玉の1つにしたい」と話している。

*上記の記事は、一面トップで報じられたため、大きな反響がありました。関係者の皆さん、ありがとうございました(高見)。


猪面d 猪面(九州山地)<九州国立博物館蔵>   所蔵

海幸彦(南九州)<九州国立博物館蔵>
 *以上の仮面は、由布院空想の森美術館旧蔵。いずれも今回九博収蔵になったもの。

 

九州民俗仮面美術館

展示替えしました
2013年1月20日



2008年4月に旧・由布院空想の森美術館所蔵の「九州の民俗仮面」90点が九州国立博物館の収蔵となった後、九州民俗仮面美術館の展示は、一度「空白」となりましたが、その後2年の間に、少しずつ仮面が集まってきて、現在は、100点を越える仮面が壁面を飾っています。様々な事情によって流出し、世間を漂泊していた仮面たちが、またこの宮崎の地へと帰ってきているのだと私たちは考えています。仮面の流出と漂泊については、このホームページ「漂泊する仮面」の項のほか、いろいろな機会で詳しく述べてありますのでご覧下さい。集まった仮面の中には、固形を示す翁や道化、神王面、高千穂神楽面一式、狐面、兎面、田の神面、女面、弥五郎面など貴重なもの珍品など多数あります。以下にその主なものを掲示し「仮面解説」のページ(近日オープン)で説明を加えていきます。











《以上は九州民俗仮面美術館展示品》




《九州民俗仮面美術館展示風景》

 
2012−2013
特集
山と森の精霊
ー高千穂・椎葉・米良の神楽ー展

大阪・東京/LIXIL(旧・INAX)ギャラリーにて



■大阪展:会期 2012年9月8日−11月22日
LIXILギャラリー大阪
         
大阪市中央区久太郎町4-1-3伊藤忠ビル1FLIXIL大阪水まわりショールーム内
 

TEL06-6733-1790 FAX06-6733-1791

■東京展:会期 2012年12月6日−2013年2月16日
LIXILギャラリー東京 
東京都中央区京橋3−6−18 LIXIL;GINZA 2F
TEL : 03-5250-6530. FAX : 03-5250-6549 ...
 
  「山と森の精霊 高千穂、椎葉、米良の神楽」展

宮崎県下の九州脊梁山地には、緑濃い豊かな照葉樹林の森が広がっています。奥深い山間部にも必ず人の営みがある地域です。狩猟をし、山の斜面を田畑にし、生活をする人々。自然と密着した暮らしがいにしえから続いています。この地方には『古事記』や『日本書紀』中に登場する日向神話の舞台も数多く点在し、神話や伝説とともに独自の風土を培ってきました。宮崎には今も300を超える神楽が伝承され、こうした神々の世界を今に語り継いでいます。
本展では、神楽の宝庫といわれる高千穂、椎葉、米良に伝承されてきた神楽をとおして、自然(神/精霊)とそこに生きる人々との神聖で密接なかかわりを写真、映像、再現展示、実資料から紹介します。




ブックレット
山と森の精霊―高千穂・椎葉・米良の神楽―

「山と森の精霊―高千穂・椎葉・米良の神楽―」展/ブックレットが完成しました。
LIXIL大阪ギャラリー、東京銀座の「LIXILブックギャラリー」、
全国の書店、アマゾンなどで購入できます。



表紙は、すでにおなじみとなったデザイン。
DMや会場正面のパネルとして使用され、大活躍。
高千穂・野方野神楽の「舞い入れ」風景。野方野神楽は、
牛神様(古くは石神様)を主祭神とする神楽で、野方野地区牛神神社に伝わる。
神社での神事の後、長い道のりを神楽宿(地区の神楽伝承館)まで「道行き」する。
その神々降臨の行列について歩き、ようやくたどり着いた神楽宿に舞い入る直前、
外神屋を三周する場面。


目次。
高千穂秋元神楽・秋元神社での神事前。神々と年少の伝承者の交歓がすでに始まっている。


「神楽とは」
神を招き降ろして祈りを捧げ、歌舞や音曲などの神事芸能を奉納して、
神と人が一体となった宴を催す。その祭りのことを一般に神楽と呼んでいる。
神楽は全国に夥しい数があるが、なかでも宮崎県には300を越える神楽画伝承されている。
特に山深い九州脊梁山地に位置する高千穂・椎葉・米良の地域には、
夜を徹して行なわれる夜神楽が、古いかたちを保ったまま守り継がれている。
「古事記」や「日本書記」に登場する天孫降臨の神話を伝える宮崎では、
岩戸に隠れた天照大神を誘い出す「岩戸開き」の物語を軸として、神楽の演目が展開される。そこに、高千穂では色濃く残る修験道が、椎葉では狩猟儀礼や森の民俗が、
また米良では南北朝の哀史が織り込まれて、複雑な旋律を奏でていく。
それぞれの土地の古層に潜む神々や伝説、そこに生きる人々の暮らしや想い。古代から連綿と守り継がれてきた神楽が醸す豊饒な世界。そこに人々は魅了されていくのだろう。(編集部)

☆☆☆

目次から
□神楽とは
□神楽伝承地図
□高千穂神楽・椎葉神楽・米良の神楽
□神楽に登場する仮面神
□仮面・神々の造形 高見乾司
□「ふゆまつり」の神々 中沢新一
□神楽―自然と人間の交流のドラマ 鈴木正崇
□神楽を伝承する人々 編集部


LIXILギャラリー企画展
山と森の精霊
高千穂・椎葉・米良の神楽展



2010-2011/企画展
アジアの仮面と九州の仮面
会期 2010年9月20日-2011年3月30日
好評のうちに終了

  
 

 アジアの仮面50点と九州の仮面100点を展示する企画展です。20年にわたり、アジアと九州の仮面の調査・研究を続け、2006年に「九州民俗仮面美術館」を設立した当館館長・高見の念願が、東京銀座・ギャラリー飛鳥/永田雅之氏、福岡県在住の研究仲間M伊藤氏などのご協力を得て実現しました。アジアの仮面文化はインド・イスラム圏の仮面文化と古代中国を源流とする仮面文化とが交錯しながら、アジア全域に広く分布しています。九州の仮面と中国少数民族の村に伝わる道教祭祀系の仮面、タイ・インドネシア・ネパール・韓国などの仮面を並べてみると、多くの共通項があり、その伝播の経路や分布図、歴史的背景などを類推することができます。アジアから九州へ入った仮面文化が、神楽や能・狂言等の日本の伝統文化の祖形となったのです。遠くアジアの芸能・仮面文化に思いを馳せるひとときをお楽しみ下さい。
*好評のうちに終了しました。

2011/特集
ゴールデントライアングル<黄金の三角地帯>の仮面




  
 アジアの仮面50点と九州の仮面100点を展示する企画展に引き続き、「特集・ゴールデンドライアングル<黄金の三角地帯>の仮面」を開催しています。福岡県在住の研究仲間M伊藤氏とともにタイ・ミャンマー・ラオス・中国南部を訪ねる旅で出会った仮面を展示し、アジアと九州の仮面文化との比較します。併せて中国道教系の古仮面、韓国の木製古仮面を展示しています。アジアの仮面文化はインド・イスラム圏の仮面文化と古代中国を源流とする仮面文化とが交錯しながら、アジア全域に広く分布しています。九州の仮面と中国少数民族の村に伝わる道教祭祀系の仮面、韓国の仮面、東南アジアの仮面などを並べてみると、多くの共通項があり、その伝播の経路や分布図、歴史的背景などを類推することができます。黄金の三角地帯と呼ばれ、かつて麻薬の栽培地帯としてその名を知られた地域にも仮面文化があり、アジアの仮面文化とクロスしています。この地を訪ねた時のこと、仮面入手のエピソードなどは黄金の三角地帯の仮面のぺーじへ。



神と人が融合する瞬間
小川の夜を体感する「月の神楽」

2013年9月23日
西米良村小川「おがわ作小屋村」前の広場にて



朝から午前中へかけて降っていた雨が上がった。
西米良村・小川作小屋村の前庭に設えられた御神屋を覆うブルーシートは撤去された。
手際の良さは、日頃、山仕事で鍛えた人たちが、この「祭り」の主催者であるからだ。
庭の東には供え物。秋の味覚が月の神に捧げられ、今年の豊作を感謝し、
今日のこの場への神の降臨を祈願する。

 

御神屋の四隅に、篝火が焚かれている。
今宵は、一切の人工の灯りを消し、月の光と篝火の灯りだけで神楽を鑑賞しようという趣向である。



次第に日が暮れてゆく。
小川神楽「清山」から神楽が始まった。
「清山(きよやま)」とは、御神屋を清め、神を招く舞。



越野尾神楽「幣差」。途中で「水神」が降臨する。
越野尾の水神とは、地区の氏神、一ツ瀬川の水神である。



広場に灯る竹あかり。灯りはライトアップされた小川城址公園へと続く。
小川城は、中世から近世へかけて、南朝の落人とともに米良に入山した菊池氏が本拠とした城を復元。
資料館・企画室として活用されている。南朝・菊池氏の一統とともに米良山系に神楽が伝わり、
小川神楽もその流れを汲む。小川神楽は、毎年12月の第2土曜から日曜へかけて開催される。
菊池氏とともに伝わったとされる鎌倉時代の神面が出る「菊池殿宿神」や
小川神社の主祭神「磐長姫命」も出る貴重な神楽である。



この夜は、小川神楽「地主神の舞」、越野尾神楽「荒神」、小川神楽「一人剣」などが次々と上演され、
観客を魅了した。村の氏神の祭りとして神社を主体に伝えられてきた神楽が、伝統的な形態を守りながら、
新たにこのようなテーマを設定し、実行委員会や施設などが主体となって開催される神楽も、
伝承の形や今後の方向性を探る試みの一つであろう。
この「月の神楽」は、四年前に「小川作小屋村」の事業として始められたものだが、着実に観客を増やし、
地元の神楽伝承者の協力も得られて定着した。



神楽終了後、盛大に花火が打ち上げられた。観客の歓声と花火の音響とが山々にこだました。
方々から集まってきた客、村の人々が家路に着く光景を、私は少し離れた場所から眺めた。
私はこの「月の神楽」の提案者の一人であるが、今年は「客」として仲間を誘って訪れ、
静かに絵筆をとり、しみじみと胸に沁みる思いで神楽を見たのである。
このような場面こそ、企画者としての私がもっとも喜びとするものである。



神と人が融合する瞬間
小川の夜を体感する「月の神楽」

2011年10月8日
午後6時開演
神楽終了後、花火の打ち上げ
西米良村小川「おがわ作小屋村」前の広場にて



古と変わらぬ月光が照らし出す
感謝と祈りに満ちた西米良神楽の舞
神々と人とが融合するこの瞬間
天の名月に誓いを立てる
「変わらぬ山里の暮らしと歴史を守り継ぐ」と



今年で三回目迎えた「月の神楽」。
西米良村の秋の名物として定着してきました。
今年は、主祭神として「磐長姫」が降臨する小川神楽にちなみ
「女面の舞」をテーマとしました。
磐長姫は神社の大祭である小川神楽にしか降臨しませんが
京都在住の舞踏家・渡守希さんによる創作神楽「黒い女面」の舞、
米良山系・尾八重神楽の「神和(かんなぎ)」が披露されます。
その他、宮崎市船引神楽の若き伝承者大河内康平君(中一)岡新之介君(小二)による
「鬼神」と「手力男命」の舞、小川神楽の「蛇切」「幣差」「神の舞」があります。
名月の下、女面の起源に思いを馳せ、
鬼神の舞に森の精霊との語らいのひとときをお過ごし下さい。





「月の神楽」

2011年10月8日開催


今年で三回目を迎えた「月の神楽」は、10月8日、おがわ作小屋村の
前庭に設えられた特設会場で開催された。三年前に提案され、好評を
博した昨年に続き、今回から作小屋村エコミュージアムの事業の一環
として組み込まれ、恒例の行事として定着したのである。かつての
山仕事の小屋を復元した作小屋の前に、多くの人が集まってきた。


竹筒を利用した「竹の灯り」が点灯され、篝火が焚かれて、
茅葺きの作小屋が夕闇に浮かび上がった。



神楽は、宮崎市清武町船引神楽の「注連鬼神」から始まった。注連鬼神の
舞を舞うのは小学二年生の岡新之介君。先輩の中学三年生大河内康平君
(「手力雄命」の舞)とともに招待参加である。康平君と新之介君はこの
後の囃子も受け持ち、大活躍であった。注連鬼神とは、地の霊を鎮め、
神楽の場を清める舞である。新之介君の見事な舞に大きな拍手が起こった。
神楽は、小川神楽の「蛇切り」へと続いた。剣を採り物に舞う、勇壮な
神楽である。智剣を持って悪霊を切り祓う舞と伝えられる。



月が出た。十二夜の月が、雲間から御神屋を照らした。神楽は篝火と月の
光の下で舞い続けられた。まさに幽玄の神楽といえよう。
「岩戸の前で庭燎(にわび)を焚き、神楽を舞った」と古資料に記される
古代の神楽とはこのようなものだったのであろうか。

月の神楽 「女面の舞」


(写真は小川神楽・磐長姫命/2009年米良神社大祭にて)

西米良村小川地区米良神社には「小川神楽」が伝わり、主祭神として
磐長姫命が降臨する。女面の神が主祭神として祀られ、
神楽に降臨する稀有な例であろう。
小川神楽の磐長姫には、哀歓誘う伝承がある。
天孫降臨の折、ニニギノミコトは美人の木花咲耶姫を娶ったが、
同時に
献上された磐長姫は醜女であるとして返された。
これを悲しんだ磐長姫は一ツ瀬川を遡り、米良・小川の地に住んだのである。
だが、悲しみはますます深まり、ついに磐長姫は入水する。
これを村人が哀れみ、祀ったのが米良神社である。
小川の磐長姫は山の神信仰と混交しながら、大切に祀られ、伝承された。


磐長姫命は米良神社の大祭・小川神楽にしか降臨しないが、
小川神楽の磐長姫伝承にちなみ、今年の「月の神楽」
のテーマを「女面の舞」とした。
京都の舞踏家渡守希さんは、「黒い女面」と「白い女面」の一対の舞を演じた。
黒い女面は、えくぼのある能面「深井」である。深井は能楽「桜川」に使用される仮面だが、
現在使用される面は白い面であることから、この深井面は能面完成と同時期または直後に
制作された古面と思われる。月の光と篝火の灯りを受けて黒い女面が揺れ、
闇にまぎれて地の霊と交感し、また虚空へと舞いあがり、天空の神秘に感応しようとした。
現代の舞踏と神楽の融合を模索する渡守さんの舞は、
白い女面の舞で軽やかに舞い収められ、観客を魅了した。



尾八重神楽の「神和(かんなぎ)」(写真左上・2008年尾八重神楽にて)は
「下照姫(しものてるひめ)の舞」と伝えられる白い女面の舞である。
御幣を肩に担ぎ、その御幣を取り付けてある竹を扇で打ちながら
御神屋を巡り、次に御幣を掲げて舞う呪術的な神楽である。
下照姫とは高天原から出雲の国へと使わされた神・天若彦の妻である。
天若彦は大国主命の娘の下照姫と恋仲になり帰らなかったため、誅された。
それを悲しんだ下照姫は、喪屋の横で泣き、もがりを行なった。
記紀神話が伝えるこの場面は、死者を悼む呪術的芸能の原初の姿を現す。
神楽「神和」は米良山系の神楽や西都・高鍋・宮崎平野を経て霧島山系の神楽
にまで分布する。神和の舞は天鈿女命の舞、山の神、高幣(たかび)、氏舞など
呼称はさまざまだが、その芸態ほぼ同一である。神楽の祖・天鈿女命から猿女君
へと伝えられた宮中の御巫(みかんなぎ)の芸態を今に伝える神楽だといえよう。
月光の下で舞われる神和は、女面の源流部へと遡る旅に誘った。



「月の神楽」は小川かぐらの「幣差(へいさし)」と「神様の舞」へと舞い継がれ、
終わった。幣差は地の霊を鎮め、場を清める招神の舞であり、神様の舞とは
小川神楽に次々と降臨する地主神の舞である。
この夜、「おがわ作小屋村」の庭に土地神が降臨し、舞い遊んだのである。








とき 
2009年10月3日
午後7時30分ー午後9時30分
ところ
宮崎市平和台公園・平和の塔前広場
舞踏(現代神楽・渡守希)
企画協力「九州民俗仮面美術館」
主催 ひむか村の宝箱
TEL・0985−31−1244
中秋の名月にちなみ、「月に舞う」を企画しました。会場は、宮崎市の北西の高台に位置し、宮崎市内を一望に望む平和台公園に建つ「平和の塔」の前の広場。平和の塔は、第二次世界大戦勃発前の国民的感情が高揚した時代に、日露・日清の両戦役によって得た領土から送らせた大量の石材を利用して、当時の日本の威信を世界に示すという目的で造られました。戦後は、この塔は戦争の負の遺産として批判されながら、その造形性・芸術性の高さが評価され、また歴史を直視し平和を語り告ぐ史跡公園として多くの市民や観光客が訪れる名所となっています。「ひむか村の宝箱」はこの公園内に建つ施設の有効利用を目的に開所したギャラリーで、アートや工芸・農・食など宮崎の情報発信の拠点として活動を続けています。渡守希(ともりのぞみ)さんは、京都市在住の舞踏家で、四歳から日本舞踊とヴァイオリンを始め、京都造形芸術大学入学後は演劇を大田省吾、コンテンポラリーダンスを山田せつ子、伝統演劇を故・野村万之丞等に師事。合わせて石見神楽を習得。卒業後はニューヨーク、伊勢市の猿田彦神社、鎌倉市の鎌倉宮などで公演・奉納舞を行うなど、伝統的な神楽と現代の舞踏の接点を求めて活動しています。この企画は「ひむか村の宝箱」の開店四周年の記念企画として開催されます。古代の記憶と土地の歴史を語り継ぐ神楽が、新しいよそおいと試みで名月の下で舞われるのです。当夜は、野菊や月見草、そばの花などで造られた「花酒」を手に、月の光りだけで鑑賞していただきます。終演後、「九州民俗仮面美術館」収蔵の仮面を使って、渡守さんと参加者がコラボレーションする予定です。公演時間中は撮影をお断りします。 (コラボレーションの時間帯は撮影フリーとします





とき
2009年10月4日
午後7時開演・午後10時終演
ところ
宮崎県西米良村小川・おがわ作小屋村
第一部 舞踏(現代神楽・渡守希)
第二部 村所神楽「天任」 「神崇」
第三部 小川神楽 「幣差」「折立宿神」「菊池殿宿神」

この企画は、上記「月に舞う」との連続企画です。
完成したばかりの茅葺きの「おがわ・作小屋(山仕事用に立てられた民家を復元)」とその周りを照らす月。
伝説を秘める小川城址。小川・米良神楽に伝わる磐長姫伝承と宿神伝承。
村所神楽が伝える南北朝・懐良親王の物語と米良神楽の起源。
渡守希さんと米良神楽の出会いが楽しみです。

主催 月の神楽実行委員会
西米良村大字小川254
TEL0983−37−1240


ワークショップ
森の中の仮面たち
■2006/9月18日午後1時〜
■九州民俗仮面美術館の周辺の森にて



2006年9月18日は、前日の台風(延岡市を竜巻が襲い、大きな被害が出た)の後にもかかわらず
多くの参加者があり、「ワークショップ仮面を撮る/森の中の仮面たち」が開催されました。この企
画は、隣接する「祈りの丘空想ギャラリー」で開催中の、女性写真家三人による写真展「フォトメル
ヘン」とのジョイント企画で、行われたものです。普段は館内に展示してある仮面を森の中に持ち
出し、木立や古い板壁、巨樹の幹などに展示して、三人の女性写真家とともに撮影しました。木の
間から漏れる光を浴びた仮面、焚き火の炎に照らされた仮面、女性参加者モデルとなって被った
仮面などがそれぞれいつもと違った表情を見せ、参加者を魅了しました。
以下は当日の高見の作品です。






写真展
「森の中の仮面たち」

とき 2007・4月8日〜5月10日
開館時間 AM10:00−PM5:00 入場無料



                                  
春の気配が森に満ちる3月、「森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館」に展示されていた仮面たちを、
中庭とその周囲の森に持ち出し、展示して、撮影会を開催しました。集まったのは、宮崎県内の
女性写真集団「Activ−L」の皆さんを中心に、民俗仮面の魅力にとりつかれた写真家の皆さんでした。
かつて神社や神楽座や村の家などに伝わり、守護面として家や村を守り、祭りの日に村人と交歓した仮面たちは、
明治期や戦後の宗教観の変革などにより、流出し、コレクターや古美術商などの手を経た後、
彼らの源郷ともいえる茶臼原の森に開館したこの仮面美術館に展示されていたのです。
大きな楠に抱かれた中庭では火が焚かれ、木立の間から落ちてくる春の陽光とともに仮面たちの相貌に
彩りを加えました。この日に撮影された作品約100点を、古い教会を改装したギャラリーに展示しています。
仮面という素材をもとに、新しい物語を紡ぎだした人、造形的な美しさを追及した人、仮面に自身の心象を投影させた人。
写真家の皆さんによって、仮面たちが新しいいのちを獲得したように見えます


秋の夜のために
 
満月仮面会」
  仮面に囲まれ、月を愛で、
 
  句を楽しむ一夜の
    お誘いです。


 

とき 2007年9月29日(土)午後6:30〜9:00
 ところ 九州民俗仮面美術館
共催 ザ・俳句新鮮組/九州民俗仮面美術館




森の空想コレクション`08

              
   
      

 
  会期 2008年5月28日〜6月2日 
     会場 ギャラリーがらん西荻
 開廊時間 午前11時30分〜午後6時30分 

                     

「森の空想ミュージアム/九州民俗仮面美術館」を主宰する高見乾司が、仮面研究と宮崎の神楽を訪ねる
フィールドワークの過程で出会い、収集した民俗資料・神像、仮面に加え、絵画コレクション、
九州の古陶などを旧知のコレクタ―の協力も得て展示・販売しました。
荻窪はかつて井伏鱒二が住んだ町。西荻には小ぶりでお洒落なギャラリーや骨董屋、古書店、
アンティーク着物の店などがあり、楽しみな町です。2001年5月、「旧・由布院空想の森美術館」
は湯布院町での15年間の活動を終え、現在地の宮崎県西都市に移転し、活動を継続してきましたが、
このほど、その展示の中核と位置づけてきた「九州の民俗仮面」が「九州国立博物館」の収蔵となり、
新しい展開期を迎えました。「空想の森美術館」という名称は、同美術館が存在しなくなった今も、
多くの皆さんの記憶やイメージの中、あるいはインターネット上などで「存在し続けている」
といううれしい現象もあります。今回の企画では、旧友たちも集まってくださり、
これらのことを語り会う機会になりました。



 

■「2003・九州の民俗仮面」展

 とき 2003年10月7日―12月20日
 ところ 日本民藝館(東京都目黒区駒場)





□神楽上演
銀鏡神楽は、九州山地・米良系神楽で、起源は中世にまでさかのぼることができます。古代の山岳信仰や猪狩りの習俗「ししとぎり」が習合するこの神楽は豪壮かつ優美な舞いでも知られ、九州を代表する神楽として国指定重要無形民俗文化財にもなっています。この銀鏡神楽が200点の仮面が展示された空間で上演され、大好評でした。


―変身する神々―
「九州の民俗仮面」
2005・TOKYO・国際宗教学宗教史会議世界大会
2005年3月24日―30日
高輪プリンスホテル貴賓室「鶴」「亀」「菊」の間にて
*世界中から約2000人の宗教学者を招いて開催された上記会議の学
術展示として「九州の民俗仮面」50点が展示され、高い評価を得ました。


九州の民俗仮面展
会期 2004年9月7日〜11月28日
会場 豊田市民芸館(愛知県豊田市)

2003年の「日本民藝館」での展示に続き、豊田市民藝館でも連続企画
として開催されました。当地は、奥三河から天竜川源流域にかけて分布する
「花祭り」「霜月祭り」などの地域に近接します。
新たな仮面論、芸能論の展開が期待れさます。


「2003・九州の民俗仮面展」関連企画

■「九州の仮面と自然布」
アートスペース繭(東京都中央区京橋)10/7―10/18

■「日本の演舞仮面と神像」
ギャラリー飛鳥(東京都中央区銀座)10/20―10/30

「2003・九州の民俗仮面展」宮崎県内での企画

■椿一番館ギャラリー(西都市尾八重)8/22―8/24

■ギャラリー雑木林(綾町南俣)8/25―8/31

■森の空想ミュージアム(西都市穂北)9/1―9/15
◆ダンボールかめんアート
とき 2003年9月6日午前10時集合
ところ 森の空想ミュージアム


 



九州の民俗仮面展

会場 西都原考古博物館
会期 2005年10月20日〜11月30日

 
仮面フォーラム
  10月22日13:30分〜

九州の民俗仮面展

会場 西都原考古博物館
   (宮崎県西都市大字三宅西都原西5670番

         
TEL0983−41−0041)
       
会期 2005年10月20日〜11月30日
 
仮面フォーラム 10月22日13:30〜
       
第一部・講演「九州の民俗仮面とアジアの仮面文化」
  
第二部・フォーラム「民俗仮面が語る古代史
*入場無料
主催・森の空想ミュージアム/特定非営利活動法人iさいと
後援・社会福祉法人石井記念友愛社

「仮面フォーラム」

1、日時 2005年10月22日13:30〜17:00

2、会場 西都原考古博物館1Fエントランスホール

3、内容

     第一部 講演「九州の仮面文化とアジアの仮面文化」 

講師・高見乾司(森の空想ミュージアム館長)

     上記日程により、仮面フォーラム「九州の民俗仮面とアジアの仮面文化」が開催されました。当日、講師をつとめた高見は、20年間にわたり、九州の民俗仮面を収集し、調査研究を続けてきました。とくに「旧・由布院空想の森美術館(1986−2001)」での15年間にわたる展示とその後の東京・日本民藝館、豊田市・豊田市民芸館その他での展示・普及活動は大きな成果と反響を呼んでいます。高見の仮面との出会いと研究の成果、明治以降の民俗仮面の流出という不幸な歴史と保存活動の重要性などについて、いままで語られるるこのとのなかったエピソードなども交えて話しました。また中国の古代史・アジアの芸能史と九州の仮面文化のかかわり、さらに日本の伝統芸能の源流部へと遡る視点なども参加者の興味を集め、後半では実際の展示を見ながら中世以降の仮面芸能について解説しました。仮面の起源や用途を知る知的好奇心に満ちた旅への道しるべとなったようです。

     第二部 フォーラム「民俗仮面が語る古代史」

      司会・北郷泰道(西都原考古博物館主幹)

     第一部の高見の話を受け、北郷氏の司会により、九州の民俗仮面と日向神話との関連、古代史と芸能史の関連などを考古学のデータを参照しながら探りました。日本の仮面史は、縄文時代の「土面」の消滅から律令時代の外来仮面の渡来を経て平安時代の木製仮面の登場まで、千年以上の空白期をもちます。その空白期を埋める手かがりとなる仮面が、南九州の「王面」の存在だとする視点は参加者を
刺激しました。さらに、服属儀礼としての隼人舞、猿田彦の関連、黒い翁面・黒い女面・道化などの仮面が、先住民=土地神の系譜に入るのではないか、という視点は、館の特別企画「海を渡った日本文化」のなかの「隼人の盾」の展示と関連していること、仮面史と考古学のデータを照合することによって浮かび上がる立体的なイメージなどが注目を集めました。ここでは、参加者との討論形式をとりながらさまざまな角度から九州の仮面文化を照射しました。


   


  森の空想ミュージアム
  九州民俗仮面美術館

(2006/3月5日開館
 
梅の香りが漂っています。ウグイスの初鳴きも聞かれました。南国の春は駆け足でやってきます。
・由布院空想の森美術館」が、2001年5月に、湯布院町での15年間の活動を終えて宮崎県木城町と西都市にまたがる広大な敷地に福祉施設が点在する、この「石井記念友愛社」の一角に移転し、「森の空想ミュージアム」として再出発してから、四年が経過し、五年目の活動に入りました。絵画展を中心とした企画の場「祈りの丘空想ギャラリー」、染織とアートワークショップの工房「森の空想工房」、それを結ぶ散策空間「緑の空想散歩道」の三つの空間で、これまでにさまざまな活動が開始され、「染織ワークショップ」や「森の空想アート塾」も盛況でした。友愛社の福祉の歴史とアート活動が出会い、「創り、学び、遊ぶミュージアム」としての活動が開始されたことは、私どもにとっても、この地を拓き、暮らし続けてきた地域の皆さんにとっても、そして新しいアートの時代にとっても幸福なことだと思っています。2003年には、染織講座「森の空想工房/自然布織り講座」が本格化しました。同年10月7日〜12月20日の会期で、東京駒場の「日本民藝館」において、「九州の民俗仮面展」が開催され、好評を博しました。2004年は、1月26日から西日本新聞・文化蘭で「森の空想通信」と題した高見乾司のエッセイが50回連続で掲載され、湯布院のこと、森の空想ミュージアムのこと、九州の仮面や祭りのことなどを書きました。同年10月には愛知県豊田市の「豊田市民芸館」で日本民藝館に続く企画として「九州の民俗仮面展」が開催され、好評でした。2005年秋には「県立西都原考古博物館」での「九州の民俗仮面展」が開催され、これを契機とし、2006年1月から、いよいよ本格的な「手づくりミュージアムプロジェクト/九州民俗仮面美術館」が始動しました。友愛社の子どもたちが暮らした古い建物を地域のアーティストや住民の皆さんの参加を得ながら、改装し、仮面美術館として作り上げてゆくというプロジェクトです。ボランティア方式とワークショップ方式という二つの方法をとりながら、内装や照明、展示、外観の補強とデザインなどを併行して進めてゆきます。ますます楽しみな私たちの活動にお気軽にご参加ください。


森の空想ミュージアム
九州民俗仮面美術館
設立のための
手づくりミュージアムプロジェクト
2006年1月始動。




森の空想ミュージアムでは、このたび「手づくりミュージアムプロジェクト」
と名づけた手法により、「九州民俗仮面美術館」を開設することとなりました。
同プロジェクトは、多くの皆さんの参加を得ながら、かつて石井記念友愛社の
子どもたちが暮らした建物を手づくり方式で改装し、建築物やそれを取り巻く
空間そのものをアートな作品として仕上げながら、「九州の民俗仮面」を展示
するものです。


九州は、日本の古代国家成立の物語である記紀神話の舞台となった土地であり、
その母体となったと考えられる「日向神話」や神社・地名伝承などの濃密な分
布地域です。さらに、高千穂神楽・椎葉神楽・米良神楽などに代表される民間
芸能も伝承されています。「九州の民俗仮面」とは、民間祭祀や神楽などの芸
能に使われ続けてきたもので、古代の物語を語り、「神」として山深い村や神
社などに伝わりました。

日本の仮面文化は、縄文時代の祭祀に用いられた「土面」の文化、仏教ととも
に渡来し、宮中・寺院などで演じられた伎楽面・舞楽面等の「渡来仮面」の文
化、伎楽面、舞楽面の影響を受けながら、中世に完成された能面・狂言面等の
「伝統芸能仮面」の文化、神楽・神事、村の祭祀など、庶民の祭祀・芸能に用
いられた「民俗仮面」の文化に大別されます。

「九州の民俗仮面」とは、これらの仮面群の中の、九州地方に伝えられてきた仮面で、
神楽面を主とし、天孫降臨伝説にも登場する道ひらきの神「猿田彦」、神社の守り神
として奉納された「王面」、雨乞いや民間祭祀に関連する「火の王・水の王」、田植
え祭りなどに登場する祖先神「翁面」、先住民・山の民の残像を示す「道化」など、

の多様性はアジア環太平洋の十字路としての九州(さらには日本)の仮面文化を
象徴するものです。アジアの仮面芸能と関連し、日本の伝統芸能の祖型を残しな
がら、優れた造形美をあわせ持つこれらの仮面たちは、明治期の廃仏毀釈の波に
よる流出以来、漂泊変転を重ねていたのですが、ようやくその原郷ともいえるこ
の地に展示できることになったのです。


このプロジェクトは、旧・由布院空想の森美術館での活動を支援してくださった多くの皆
さんをはじめ、当地での活動を全面的に支持してくださっている石井記念友愛社、現在
の仮面の所有者・藤林晃司氏、トヨタ文化財団「地域プログラム助成」などのご支援、ご
協力によって実現に向かい始めました。もちろん、すでに多くの皆さんが、建物の改装
などの作業を手伝ってくださっています。今後のプログラムと活動の経緯を、この紙面で
公開してゆきます。新しいかたちの「仮面美術館」の生成に、どうぞ、ご参加ください。



手づくりミュージアムプロジェクト/今後のプログラム
◇1月25日 第一期内装工事(壁張りと天井張りなど)*終了
◇1月26日〜30日 自然布ワークショップ(楮の木を採集し、繊維を採り、布を作る。
              展示や照明器具などにも利用)*終了
◇2月11日〜12日  ワークショップ「九州神楽紀行」(北郷町潮嶽神楽→諸塚村戸下神楽訪問)*終了
◇2月18日・19日 漆喰塗り。天井と壁面を漆喰で塗ります。*終了。引き続き作業中。ボランティア参加者募集中。





◇2月26日 ワークショップ「竹の灯り」(参加費1人2000円)。大分県湯布院町在住の竹工芸家高見八州洋氏を
        講師に迎え、マダケ孟宗竹、楮の枝ゆ流木などを利用して照明器具を作ります。共同作業で作った照
        明器具が仮面を照らし、幻想的な空間を照らします。自分用のオリジナル照明器具も作ります。
        *午前10時〜午後4時
◇3月5日 開館。
        開館記念コンサート&パーティー 午後6時〜(会費3000円。鹿肉シチュー、手焼きパン、花酒付き)
       <早川広志のバロックリコーダーによる「バッハの無伴奏チェロ組曲」>
       *同時開催 小島裕史「森の時計展」(祈りの丘空想ギャラリー。入場無料)
        会期 3月5日〜19日 10:00〜17:00


<手づくりミュージアムプロジェクト>
   ・これまでのプログラム2005−2006・
◇1月25日 第一期内装工事(壁張りと天井張りなど)


◇1月26日〜30日 自然布ワークショップ(楮の木を採集し、繊維を採り、布を作る。
              展示や照明器具などにも利用)*終了
◇2月11日〜12日  ワークショップ「九州神楽紀行」(北郷町潮嶽神楽→諸塚村戸下神楽訪問)
◇2月18日・19日 漆喰塗り。天井と壁面を漆喰で塗ります。*終了。引き続き作業中。ボランティア参加者募集中。

◇2月26日 ワークショップ「竹の灯り」大分県湯布院町在住の竹工芸家高見八州洋氏を
         講師に迎え、マダケ、孟宗竹、楮の枝や流木などを利用して照明器具を作りました。共同作業で作った照
        明器具が仮面を照らし、幻想的な空間を照らしています。



◇3月5日 開館。
        開館記念コンサート&パーティー 午後6時〜
       <早川広志のバロックリコーダーによる「バッハの無伴奏チェロ組曲」>
        以上、終了。





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◆リンクについて、非商用目的なものに限り自由です。リンクを張られる際は
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(SINCE.1999.5.20)